ニュースソース:The Times of India
NEW DELHI:
米国初のアフリカ系大統領バラク・オバマは、世界各地で「変革」の申し子として歓迎されている。もちろんそれには理由はある。
44代大統領として名乗りを上げる就任式直前、オバマは国や人種や宗教を越えて世界中に希望を与え、変革の時をもたらす人となろうとしていた。
例に漏れず、インドにおいてもオバマ大統領の就任は楽観的に受け止められてきた。好意的に受け止められなかった所があるとすれば、オバマがパキスタンとアフガニスタンの国境紛争問題とインド・パキスタン間のカシミール問題を関連づけている点であろう。これによりパキスタンの国境問題が再燃することになる。
しかし、インドにとって良いニュースもある。オバマ大統領は、テロとの戦いの焦点を、イラクではなくアフガニスタン・パキスタンのみに絞ることを宣言したのだ。これは、テロリストの温床である印パを一掃することが重要だとしてきたインドの主張を支持したものである。
オバマの前任者はイラク戦争を拡大化させた愚行をやり玉に挙げられ続けたが、イラク撤退を宣言したオバマ大統領の決断は、世界中から好意的に受け止められている。この点でも、オバマは既に前任者との違いを示し始めている。
もちろんインドとしては、パキスタンにおけるテロとの戦いへの協力を口実に、米国政府がカシミール問題に踏み込んでくるのは避けたいところだ。しかし、オバマ大統領は、これが二国間問題であり、他国の貢献できることなど微塵も無いことを理解し、バランスを崩さないようにしているようである。
印米間の問題はもう一つある。民主党は、インドへのCTBTおよびNPTへの署名を強く求めて来るであろう。しかし、これらの問題に対するインドの立場は明確にされており、強行に迫るようなことをすれば、米国政府が最も避けたい、大きな反感を生むことになるだけだ。
オバマ大統領が最初に直面する問題は、米国経済を立て直すことである。彼は既に重点的に着手する分野、再建計画の概要を発表している。米国経済に新たな流れが注ぎ込まれることは、インドのみならず世界経済にとっても良いニュースだ。米国経済の影響を受けない国など、もはや存在しないのだから。
インドのIT産業の輸出額500億ドルの実に90%以上が米国への輸出である。したがって、米国経済が安定しないのはインド経済にとっても好ましくない。オバマ大統領は、かつて米国人の雇用を保護する観点からアウトソーシングに対して否定的な見解を述べたことがあるが、印米間のビジネス関係を壊すような真似だけはやめて頂きたいものである。
昨年の二国間での核問題についての締結に見られるように、今後の米中間の関係は、印米間の戦略的な結びつきに対して不穏な空気を与えることになるだろう。ブッシュ大統領は、任期二期目においては中国を封じ込めようとしていた。彼自身は、ここ数年で最も米中間のつながりが強まったと言っていたものの、それは誰の目にも明らかであっただろう。その一方でオバマ大統領は、今までのところ対中カードを明らかにはしていない。
国務長官ヒラリー・クリントンは、中国と良好で協力的な関係を求めていると述べた。しかし彼女は「一方にのみ恩恵のある関係」を求めている訳ではなく、「どのような関係になっていくのかは中国の選択次第」とも述べている。
オバマ大統領は、前任者の様にイラン問題に関与することは避けたい意向であるようだ。しかし、特にイランが高濃度の濃縮ウランを作り続ける場合は、政策転換が無いとも限らない。イランに対する軍事的なオプションを捨てた訳ではなく、欧州諸国はヤキモキさせられるばかりだ。
オバマ大統領はグアンタナモ湾の囚人収容所を閉鎖する意向を示している。しかし、その後の囚人たちの扱いについては、現時点では不明である。例えば、現在収容中の15人のウイグル分離主義者たちはどの国も受け入れを拒んでおり、行き場がないのが実情である。
オバマ大統領もまた、天変地異でも無い限り、世界の指導者として立っていくだろう。また彼は、二酸化炭素排出量の80%削減を掲げ、新たな省エネ技術の開発に1500億ドルを投資することを宣言した。しかし、彼の真意は、京都宣言に変わる枠組みを議論する12月のコペンハーゲン会議までは分からないだろう。
Translator: Takashi AKAHOSHI.